静岡でお茶の製造販売を始めて44年。茶処 静岡を広く皆様に知っていただきたいという思いから、静岡茶またはお茶について、意外に知らない歴史のお話や、暮らしに役立つ情報をお届けします。
静岡茶の歴史
静岡のお茶は、駿河国栃沢に生まれた聖一国師(1202~1280)が中国から種子を持込み、出生地に近い足久保に撒いたのが始まりと言われています。
明治維新には、徳川藩士や川越人足などによる大規模な牧之原台地の開拓、清水港から海外への直輸出による生産量の増加などにより、県下各地に茶園が広がり、生産の機械化、流通の発展など、日本一の茶産地となる基盤が作られ、現在、品質はもちろん、茶園の面積は全国の46%、生産量(生葉、収穫量、荒茶)は44%のシェアを誇っています。
「川根茶」のお話し
~山間部の寒暖差と日照時間が深い味わいを作る~
川根のお茶の歴史は古く、天文16年(1547)に書かれた古文書に上河内地区でお茶が年貢として納められていた記録があります。
大井川の川霧と肥沃な土壌で栽培される川根茶は、山々に囲まれ、日照時間が短く、昼夜の寒暖の差が大きいため、光合成によって作られた養分を夜間の寒さにより茶葉がしっかりガードしてそのまま蓄えます。
この特性を活かした蒸し方により、鮮度をそのままに金色透明の水色と深い味わいの川根茶を提供できます。
川根地区は、日本三大銘茶産地の一つと言われ、普通煎茶が多く占めています。大井川上流の山間の朝霧に守られて栽培されたお茶は、爽やかな香りと美しい水色、滋味と甘味のバランスが絶妙です。
お茶の効用
鎌倉時代の僧侶、栄西禅師の記した日本発のお茶の書「喫茶養生記」によれば、“茶は養生の仙薬なり”と、薬として効用があると記されています。
また栄西は、鎌倉三代将軍・源実朝(みなもとのさねとも)が二日酔いに苦しむのを目にし、良薬として茶をすすめたといわれています。現在、私たちはお茶を飲み物としていただいていますが、古人は万能薬として飲んでいたようです。茶に含まれる成分を見ると、渋みの成分であるカテキンが豊富に含まれています。このカテキンが、発ガン抑制作用や、抗酸化作用、血中コレステロールの低下、虫歯予防、老化防止などの症状を和らげるといわれています。但し、お茶に含まれるカフェインは、神経を刺激して脳の働きを活発にする性質がありますので、睡眠薬などをお茶で飲むなどの行為は止めましょう。
おいしい淹れ方
~煎茶・深蒸し茶・玉露茶~
- 人数分の茶碗にお湯を8分目ほど入れておきます。(上茶で70℃、並で90℃)1人分の湯量は上で60ml、並で90mlです。
- お茶の茶葉を急須に入れます。5人で10g(家庭にある大さじ2杯分)小人数の場合、1人分の量をちょっと多めに。
- 湯ざまししたお湯を急須に注ぎ、60秒位(深蒸し茶は30秒)お茶が浸出するのを待ちます。
- お茶を注ぐ分量は均等に、濃淡のないように廻し注ぎ、最後の一滴までお茶は絞りきりましょう。(美味しく味わえる温度は50℃~60℃位です)
※2煎目はお湯を入れてから10秒待ちます